27歳の女性身長156cm、体重39kgとやせ型で、冷え性や生理不順、多嚢胞性卵巣、無排卵などの症状を抱えていらっしゃいました。神経質で不安を感じやすく、顔色は白く、手足の冷えがひどいほか、のぼせや疲れやすさ、低血圧、胃腸の不調など多くの症状が見られました。クリニックでは十全大補湯を服用されていました。
漢方治療の経過として、まず自家製無農薬生薬入りの煎じ薬当帰建中湯を30日間服用されたものの、便がゆるくなり体調がすぐれない状態が続きました。また、頭痛が週に2回ほどあり、胃の違和感も取れなかったため、呉茱萸湯を時々併用されました。その結果、頭痛は改善しましたが、めまいがひどくなったため、真武湯へと変更。その後、春になると冷えが増したため、当帰四逆加呉茱萸生姜湯へと切り替えました。
服用開始から60日後、少量の出血が見られるようになり、少しずつ縄跳びなどの運動を取り入れられました。その60日後には、5日間の生理があり、その後4か月にわたって毎月生理が訪れるようになりました。しかし、その後お腹の張りや腹痛、食欲不振が再び現れたため、自家製煎薬当帰建中湯へ。時には呉茱萸湯や苓姜朮甘湯を併用しながら体調を整えた結果、12か月後に自然妊娠されました。
妊娠中は比較的安定した経過をたどりましたが、35週で破水し、ご無事に第1子をご出産されました。しかし、産後も体調不良が続き、自家製煎薬当帰建中湯、人参湯、真武湯を中心に1年6か月服用されました。断乳を始めたころには体重が36kgまで落ち、胃痛や腹痛がひどくなり、帯下の症状も現れました。そのため、大建中湯や帰耆建中湯を中心に6か月間服用されましたが、胃腸の不調は続きました。その後、カンジダ症状が現れたため、自家製煎薬温経湯に変更されたところ、服用開始から50日目に再び自然妊娠され、ご無事にご出産されました。
長い間、不妊や体調不良に悩まれながらも、漢方の力を信じ、治療を続けられたことで、二度の自然妊娠とご出産を迎えられました。お身体の不調と向き合いながらも、母となる道を歩まれた姿に深い感動を覚えます。
