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「妊娠する力」を高める漢方処方ってありますか?

日常生活では何に気をつければよいのでしょう

人工度に4回チャレンジしましたが、よい結果に結びつきません。同じころに治療を始めた人が次にするので、ちょっとあせっています。「妊娠する力」をアップするには、どうすればよいのでしょう? 日常生活で気をつけるべきこと、おすすめの漢方処方があれば教えてください。

(治療歴5年、41才)

元気な卵をつくり、育てるために「体をあたため」「血流をよくする」ことが大事。

食事、適度な運動、そして漢方薬の活用を

妊娠するために必要な力は2つあります。1つは「元気な卵をつくる力」、そしてもう1つは「卵がしっかり育っていくためのベッド= あたたかな子宮」。この2つのどちらかが欠けてしまうと、なかなか妊娠できないのです。この2つの妊娠するための力を高めるために、漢方薬でできることが「体の中の血(水、気)の滞りを改善すること」と「子宮の中をあたたかい状態にすること」です。血液の流れがよくなると、卵巣に新鮮な血液が送り込まれ、元気な卵をつくることがでるようになります(水や気の滞りも体のさまざまな循環や新陳代謝を低下させ、妊娠を妨げるの要注意)。そして子宮の中をあたたかい状態にしてあげると、卵が育ちやすく、さらに体全体の機能が向上し各器官の機能がアップするというわけです。体をあたためるために使う薬草の主となるのは、当帰というセリ科の植物。私の薬局で不妊相談にいらっしゃるかたに使っているのは、当帰の中でも最も良質で効能も高いといわれている大深当帰を無農薬有機肥料で栽培したもの。落ち葉やモミガラ、期英などをまぜて作る有機肥料を使っての栽培はたいへん手間がかかりますが、化学肥料で作ったものとはにおい、味、効能が比較にならないほどよいため、私たちは有機肥料にこだわっています。たとえば最近人気の有機野菜で育った鶏の卵を思い浮かべてください。有機野菜をエサに放し飼いで育った鶏の卵は黄身が球のようにまん丸に盛り上がり箸でつまるほど元気で、鶏小屋に詰め込まれブロイラーで育った卵とはパワーが違いますよね。人間だって、

元気な卵をつくるには「有機の力」と「運動」が必要なのではないでしょうか。特に、長期間にわたって不妊治療を受けてきたかたは、さまざまな薬やストレスなどで卵巣もかなり疲労してい

ます。そんなかたたちにこそ、有機育ちの薬草を使ってもう一度元気な卵巣、子宮をとり戻していただきたいと思うのです。日常生活では体をあたためる食べ物を積極的にとり、適度な運

動をすることをおすすめします。

処方の実例

治療歴6年。半年間なかった生理が2カ月で再開し、自然妊娠。

今回の体験者は35才で不妊治療歴6年。人工授精は10回以上、体外受精も2回チャレンジ、病院からは多嚢胞性卵巣と診断されたAさん。Aさんからのご相談は、「長年に及ぶハードな不妊治療のせいか、半年間生理がこなくなってしまった。漢方薬で体調をよくしたい」というものでした。Aさんは顔色はのぼせ傾向で、体格や体つきはしっかり(身長163㎝、体重58Kg )、

テキパキとしたいわゆるキャリアウーマンタイプのかた。生理前はイライラして寝つきが悪い、手足は冷えやすく、便秘・下痢ともに起こしやすい、甘いものが好きでコレステロール値は300近くあるとのことでした。そこで柴胡剤の薬方を1カ月分処方。すると微熱と下痢が3日ぐらいつづいたそうです。これは漢方特有のめんげん反応というもので、長期にわたる薬物治療で体内に滞った薬物を漢方が解毒している状態なのです。漢方薬で体内にたまった毒を排出して体

内がきれいになり、生理が回復したのは漢方服用後2カ月目のことでした。さらに同じ薬を1年半つづけたあと、子宮を温める目的で、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を服用していただきましたところ、3カ月後に自然妊娠されました。